ピラティスとは、リハビリによる身体の回復を目的として考案されたエクササイズメソッドです。
呼吸と組み合わせたエクササイズのパターンを実践することで、身体の深層部にあるインナーマッスルを強化し、身体の柔軟性を高め、バランスを整えます。
深く呼吸しながら動くことで自律神経が整い、身体の調子が整うだけでなく、心もマインドフルな状態になっていきます。
近年では、アスリートがトレーニングに取り入れたり、K-popアイドルや芸能人が健康促進やスタイルアップのために実践しています。
ピラティスの効果
・姿勢が良くなる、猫背や反り腰がなおる
・体が引き締まり、プロポーションが美しくなる
・自律神経が整い、心が安定する
・ストレスを緩和し、心を元気にする
・寝つきが良くなり、睡眠の質が向上する
・腰痛、肩こり、冷え、むくみなどの不調の改善
・便秘の改善
・尿もれの改善
・可動域が広がり、スポーツのパフォーマンスがあがる
・身のこなしがしなやかになる
ピラティスには、思いがけないうれしい効果がたくさんあります。お悩みの症状や不調が改善するかもしれません。
ピラティスの歴史
ピラティスの創始者であるジョセフ・ピラティス氏は1883年にドイツで生まれました。
病弱な幼少期を過ごした彼は、病に打ち勝つためにさまざまな運動に励んで身体を鍛え、14歳で病気を克服します。
自身が病気を克服した経験から、運動療法や治療法に興味を持ち、独自で研究を重ねるようになりました。
第一次世界大戦が発足し、当時看護師として働くようになっていた彼は、病人や負傷者の回復を早めるためにエクササイズを指導するようになります。
また、寝たきりでも身体の機能を改善し強化することができるように、病院のベッドを改造したエクササイズ機器を開発します。
このエクササイズメソッドとエクササイズ機器が、ピラティスと後のピラティスマシン「キャディラック」の原型となったと言われています。
彼はその後も、たくさんの革新的なエクササイズ器具を発明し続けることになります。
当時、世界ではインフルエンザ(スペイン風邪)が大流行していて、多くの人が感染し5千万~1億人もの人が亡くなったとされています。
しかし、彼のエクササイズを行っていた囚人たちは、誰一人としてスペイン風邪にならなかったそうです。
彼のメソッドは、筋肉や骨だけでなく、全身の機能に影響を及ぼす神経系や免疫システムにも効果を発揮したと言えます。
これらの功績を称えられた彼は、ドイツ当局より新しい軍の訓練を依頼されましたが、当時のドイツの政治的思考を好まなかった彼は、依頼を受けずにアメリカに渡ることを決心します。
1926年にニューヨークでピラティススタジオをオープンすると、「ニューヨーク・シティ・バレエ」から怪我をしたバレリーナが送り込まれてくるようになります。
ダンサーやアスリートが彼の指導で回復したという噂はすぐに広まり、さまざま職業のクライアントがスタジオに来るようになり、一般の人にも広がっていきました。
ピラティス氏は、自身が考案したメソッドを『コントロロジー』と呼んでいました。
これは「control」(コントロール)と「logy」(学問)を合わせた造語で、呼吸や身体の動きだけでなく精神も自分自身の意思で”思い通りにコントロールするという概念です。
彼は全ての人が生涯の健康のために「コントロロジー」を行うべきと信じ、医学の世界や学校教育への導入を目指して日々熱心に宣伝活動をしていましたが、存命中はそれほど注目を集めませんでした。ピラティスの効果が科学的に証明され、医療にピラティスが取り入れられるのは彼の死後何年も経過してからになります。
しかし、彼の弟子たちがピラティス氏の遺志を引き継いで、後進を育てていきました。その伝統と意志は現在世界中に広まっています。